ホームレスもシフト制?

エディンバラの街角で、ホームレスと思わしき人々をしばしば見かける。犬とタッグを組んで居座り続けている者、ホームレスが職業だと言わんばかりに、ホームレス姿が板に付いている者。中には、ホームレスには全く見えない、小綺麗な服装の若者までもいる。皆、通りの端っこやお店の前などに座り込んで、1日中 「チェンジ(小銭)、プリーズ」と空の紙コップを見せつけながら、道行く人に催促しているのだ。

以前、若者ホームレスからノーマネー攻撃を受けてチビりそうになった、ぽろちと配偶者。「ニーハオ!ニーハオ!」と鬼気迫る声で連呼しながら、ぽろちと配偶者をマークしてきた若者ホームレスの狂気を思い出すと、未だに身震いする。全くもって馴染みのないニーハオ攻撃に困惑したし、戦闘力が0だと思っていたホームレスから、まさか闘争心を見せつけられるとは思ってもみなかった。以来、街を歩く時は、厳重に心を武装して、挑むようにしている。

そんなある日のことだ。買い物のため出かけたぽろちと配偶者は、身の安全のため、この日もしっかりと心を武装し、いつでも戦闘モードONになれるよう、意識を高めて出かけた。 特に敵に遭遇することもなく無事にスーパーへ到着したが、突如ぽろちと配偶者の警報が、けたたましく鳴り響いた。スーパーの入り口付近には、とある若者ホームレスAが、看板のような物を持って、悲しげに座っていたのだ。

これは気を抜けないと思ったのも束の間、突然洗練された雰囲気の若者Bが、まるで気遣うように、若者ホームレスAに話しかけ始めたのだ。若者ホームレスAの意識が逸れている間に、ロックオンされないように、皆に紛れて入店しようと身を潜めたぽろちと配偶者だったが、ふとその若者ホームレスAが立ち上がり、徐にジャケットを脱ぎ出した。ぽろちと配偶者は、動揺した。

え…何でジャケット脱ぎ出したの…?と思った瞬間、若者ホームレスAは、着用していた草臥れたジャケットやTシャツを脱いで、カバンから小綺麗な洋服を取り出し着替え。そして、若者ホームレスAは、今まで着用していた草臥れた洋服を、若者Bに渡したのだ。若者Bは、当たり前のようにそれらを着用してその場に座り込み、看板を掲げ始めた。その瞬間から若者Bは、一気に悲しげなオーラを放ち始めた。

一方の小綺麗な洋服に身を包んだ若者ホームレスAは、スーパーの隣のパブへと消えた。パブへと消えた若者ホームレスAの姿は、どう見ても、もう、ホームレスではなかった。あれ程洗練されたように見えた若者Bが、今はホームレスだった。

目の前で起こったことに、目を疑ったぽろちと配偶者。ホームレスもシフト制…?

以前、配偶者は飲み会の帰りに、次々とホームレスを拾って走り去るバンを、見たらしい。ひょっとしたらホームレスの方々は、実は何者かに雇われて働く、鉄腕アルバイターなのかもしれない…。
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