スコットランドでジンを飲もう!

最近イギリスでは、ジンが流行っている。エディンバラでも、ジンを豊富に取り揃えたジン・バーが増え始めた。配偶者の職場の飲み会でも、食事前に行く0次会では、パブではなく、専らジンバーやカクテルバーに行くようになった。



去る2016年は、"ジンの年"と言われる程、イギリスでは、記録的なジンの売り上げだったそうだ。その数、1年で4000万ボトル、約10億杯のジントニックに値する。それは大雑把に計算すると、イギリスにおけるお酒の飲める人全員が、その1年に28杯ジントニックを、飲んだことになるらしい。

1689年に、オランダ出身のウィリアム3世(オレンジ公ウィリアム)が、イギリス王位についたことで、イギリスにもたらされたジンは、様々な歴史的情勢を背景に、数度の流行を経て、イギリスの国民的な蒸留酒となり、今日まで親しまれてきた。

この度のヒットの理由の1つとして考えられることは、少量で高品質なクラフト・ジンを、生み出す蒸留所が増加したことにあるようだ。事実昨年はイギリスだけで、40もの蒸留所がオープンしたのだ。

ジンの製造は、基本的にウィスキーのように熟成が必要なく、長い年月を待つ必要がないため、小規模なメーカーでも、市場に参入しやすいそうだ。それもあって、ジンを蒸留するための設備が整っているウィスキー蒸留所で、ウィスキーを作る傍ら、ジンを作るというスタイルが、増えているという。ウィスキー蒸留所が数多く点在するこのスコットランドでは、イギリスのジンの約70%が作られているというのだから驚きだ。


ジンは、大麦、じゃがいも、ライ麦、ジャガイモなどを原料として作られた蒸留酒であり、蒸留される際、ジュニパーベリー(セイヨウネズ)や、ボタニカルと呼ばれる薬草成分や、果物の皮などを加えて香り付けがされているのが特徴だ。この風味付けの違いが、ジンの風味に様々なバリエーションを与えており、近年のクラフト・ジンの急増が、さらにそのバリエーションの多様化に拍車をかけ、イギリスの人達の心を掴んでいったのだろう。

ジンは基本的に、トニックウォーターを入れて飲むことが多い。イギリスでは、このフィーバーツリー(Fever tree)のトニックウォーターが、スタンダードだ。パブやバー、スーパーマーケットなど、どこででも安価に手に入る。人工甘味料を加えず、キナの木からの天然エキスで作られたこのトニックウォーターで作ったジン・トニックは、とてもさわやかな飲み口で、これからの夏にぴったりだ。


スコットランドといえば、スコッチウィスキーのイメージが強く、どちらかといえば男性趣向という印象が強いが、これからはウィスキーと併せて、エリザベス女王も愛するジンを、是非試してみては如何だろうか。
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